4本目、水分を吸っては吸い、溜めに溜めた厚く暗い雲からついに大粒の雨粒が降ってきた。
トライデントには我々繊細たる永遠のバルバボーイの苦手とする選手、あたりが強く筋肉の硬い選手がいる。及び腰となり、ボールを支配すれど細かいプレーの精度に欠け、決定機をなかなか作れずにここまできてしまった。心は繊細でも、プレーは大雑把。我々に細かいプレーの精度なんて無いに等しいが、各々が私という一人称になれば、あなたという二人称のプレーの精度は高くなければならない。パスが10センチ以上ずれるとトラップできない。
もどかしい展開は雨とともに打ち破られた。倉片のコーナーから一度は戻されたものの、右サイドバックに入っていたアレが長い距離のクロス。誰も合わせることができず見送ると、ボールは左上のバーをかすめて、ゴールインするのである。待望の先制点。
その後はチャンスが増えたものの、追加点には至らず。光ったのはディフェンス陣で、相手の1対1の抜け出しをGKに入った小川が立ちはだかれば、千里眼を持った好井のボールカットが何度もピンチを救い無失点。ウノゼロというイタリアの美学。マンマミーヤ。